問題
問題 62
図 32、図 33 は病理組織の弱拡大像および強拡大像を示す。この皮膚病変によくみられる
ダーモスコピー所見はどれか。
1. Pigment network
2. Arborizing vessels
3. Glomerular vessels
4. Brown dots/globules
5. Multiple milia-like cysts
解答
問題 62
図 32、図 33 は病理組織の弱拡大像および強拡大像を示す。この皮膚病変によくみられる
ダーモスコピー所見はどれか。
弱拡大所見:表皮と連続している、境界明瞭な腫瘍はcup shapeな感じで、おおむね左右対称でドーム状の結節、腫瘍胞巣の所々で管腔ないし列隙あり
強拡所見:腫瘍細胞一つ一つは類円形の均一な核を有する。核分裂像ないし。左上の管腔構造があり、内部に漿液性の何かがある。管腔周囲の方がやや好酸性の細胞質をもつ細胞が多い。
以上より管腔の周囲をcuticular 細胞、青っぽいほうの細胞をporoid cellと言ったりする。この管腔構造はエクリン汗腺だと推測できる。
1. Pigment network
基底層のメラニンおよび表皮稜が規則的に波打っていることを反映している
ネットワークの網目が表皮突起を表わしていると考えられる。
2. Arborizing vessels
この言葉を使うのは基底細胞癌を指すことが多い。しかしながら基底細胞癌の病理ではあまりこの所見を述べることはないと思います。いわゆる病理標本は垂直切片なので、水平断で見ないとわからないような樹枝状に血管が分布していることをとらえられないためとされています。一般的な○○vesselsと違う点は樹枝状なので、一本の太目な血管があってそれを軸として細い血管が枝分かれしている感じです
3. Glomerular vessels
poromaやBowen病などでよく使う所見。小さい丸が集まっている感じ。昔は自分はカエルの卵frog spawnと覚えていました。赤丸の中の血管がもう少しはっきりしているとcowkskrew vesselsなどと言ったりする。
4. Brown dots/globules
dotsの方が小さく (0.1mm未満)て丸っこくて、境界明瞭。globulesの方がちょっと多きめのときに表現する。病理では表皮-真皮レベルの色素沈着に対応したり、メラノサイトのネストを反映したりする。
5. Multiple milia-like cysts
脂漏性角化症などで使われる所見。病理ではpseudohorncystを反映する
ダーモスコピー所見は病理所見と対応させることが重要です。
あと、気にせず使っていることも多いと思いますが、ダーモスコピーというのは検査の名前であって、デルマトスコープで観察した所見だし、トリコスコピーはデルマトスコープで観察した毛包の所見を指します。よくカンファで指摘されたりしました。
正直ダーモスコピーの難しい所見は論文や教科書を見ても統一されていないような気がするので、テストに出るのは基本的な誰が見てもわかるような所見しか問題にはできないと思います。
参考
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