問題
問題 60
遺伝性血管性浮腫に対する治療薬イカチバントの標的分子はどれか。
1. ブラジキニン A1 受容体
2. ブラジキニン A2 受容体
3. ブラジキニン B1 受容体
4. ブラジキニン B2 受容体
5. ブラジキニン C1 受容体
解答
問題 60
遺伝性血管性浮腫に対する治療薬イカチバントの標的分子はどれか。
1. ブラジキニン A1 受容体
2. ブラジキニン A2 受容体
3. ブラジキニン B1 受容体
4. ブラジキニン B2 受容体
5. ブラジキニン C1 受容体
ブラジキニン受容体はB1とB2が同定されている。B2は多くの組織で発現している。B1は炎症や組織損傷により発現する
血管浮腫の病型
血管浮腫だと診断した後は、ヒスタミンによる刺激誘発型などの血管浮腫か、ACE阻害薬やHAEなどで見られるブラジキニン起因性のものであるかを評価する
病型 | 病態 | 蕁麻疹の合併 |
特発性血管浮腫 | マスト細胞/ヒスタミンに起因 特発性 アレルギー性 NSAIDS不耐症 物理刺激 発汗 | あり |
刺激誘発型血管浮腫 | あり | |
ブラジキニン起因性血管浮腫 | ACE阻害薬:ブラジキニン代謝阻害 骨髄増殖性疾患:C1-INHの消耗, Ci-INH自己抗体の産生など | なし |
遺伝性血管浮腫 | C1-INH 遺伝子変異/欠損 その他の遺伝子異常 | なし |
遺伝性血管浮腫
病態により3つに分類されている
CI-INH変異 | CI-INH産生 | C1-INH機能 | 割合 | C1q | C4 | |
I型 | あり | 減少 | 低下 | 85% | 正常or低下 | 低下 |
II型 | あり | 正常 | 低下 | 15% | 正常 | 低下 |
III型 | なし | 正常 | 正常 | 非常にまれ | 正常 | 正常 |
HAE 1/2型 | HAE 3型 | |
発症年齢 | 10歳代に多い | 20代以降が多い |
男女比 | やや女性に多い | 多くは女性 |
頻度 | 1/50000 | 1/100000 |
部位 | 四肢>顔面 | PLG遺伝子変異の場合は舌に多い |
遺伝形式 | 常染色体優性 | 常染色体優性 |
原因遺伝子 | すべてSERPING1 | F12, PLGなど |
増悪因子 | 外傷、抜歯、ストレス、感染、妊娠、ACE阻害薬 | F12遺伝子変異では特に妊娠、エストロゲン製剤の関与が多い |
治療 | 抗ヒスタミン、ステロイドは無効 C1-INH製剤、ブラジキニン受容体阻害薬、カリクレイン阻害薬など | 抗ヒスタミン、ステロイドは無効 1/2型に準じて治療 |
イカチバントについて
効能又は効果:遺伝性血管性浮腫の急性発作
用法及び用量:通常、成人にはイカチバントとして1回30mgを皮下注射する。2歳以上の小児には体重に応じてイカチバントとして1回10~30mgを皮下注射する。効果が不十分な場合又は症状が再発した場合は、6時間以上の間隔をおいて同用量を追加投与することができる。ただし、24時間あたりの投与回数は3回までとする
参考
遺伝性⾎管性浮腫(Hereditary angioedema: HAE)診療ガイドライン 改訂 2023 年版
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