問題
問題 52
マムシ咬傷について正しいのはどれか。
1. 南西諸島・沖縄での発生が多い。
2. 抗毒素血清は咬傷局所に皮下注する。
3. 肘関節までの腫脹は Grade III に分類される。
4. 死亡例の多くは敗血症性ショックによることが多い。
5. 重症度の指標としてめまいなど内耳症状が重要である。
解答
問題 52
マムシ咬傷について正しいのはどれか。
1. 南西諸島・沖縄での発生が多い。
マムシは北海道から九州まで幅広く生息する。沖縄に生息する毒蛇といえばハブ。テレビ版の寅さんの最終回では奄美大島でハブにかまれて亡くなったが、視聴者の反感を買い、映画で蘇った
2. 抗毒素血清は咬傷局所に皮下注する。
静脈注射ないし点滴投与する。かまれてから6時間以内に投与すべきとされているが24時間経過後でも投与することで腫脹の軽減や筋膜切開を回避したりできる可能性がある。ちなみにウマ由来の血清なのでアレルギー反応に注意する。
3. 肘関節までの腫脹は Grade III に分類される。
4. 死亡例の多くは敗血症性ショックによることが多い。
マムシ毒は感染ではなくく、出血毒なので、出血性のショックだと思います。死亡率は0.1%程度とのこと。
5. 重症度の指標としてめまいなど内耳症状が重要である。
重症度は純粋な腫脹部位の進展具合で評価する
マムシ咬傷
一般的に本州で”蛇にかまれて腫れてきた”という訴えの場合はマムシ咬傷を想定して治療を開始する。日本に生息する毒蛇はマムシ、ハブ、ヤマガカシである。ヤマガカシはかまれてもすぐに腫れてこない。またハブは沖縄に生息する。
マムシ毒が体内に入ると数分で腫脹疼痛が出現する。30分以上経過して何もなければマムシは否定的と考える。指先などをかまれて2-3時間でパンパンに腫れあがってくるような臨床的な派手さがある
Grade I: 局所のみの腫脹 Grade II: 手、足関節まで Grade III: 肘、膝関節まで Grade IV: 肢全体に及ぶ腫脹 Grade V :四肢を超えて全身症状を伴う腫脹 |
治療
- 牙痕をつなぐように5mm程度の小切開(かまれてから40分以内が望ましい、大きく切開すると創傷遅延により入院が伸びる)して排毒する。
- 3分くらい流水で洗浄し感染予防
- 原則入院対応
- 抗菌薬 (第一セフェム)
- 強ミノ
- セファランチン 10mg/day 点滴
- ステロイド
- 抗毒素血清
- 破傷風トキソイド
抗毒素血清について
ウマ由来のため、アレルギー反応は一定の確率で発生する。即時型のアナフィラキシー (3%)と、数日-数週後に発生するIII型アレルギー(10%)が発生しうる。
メリットデメリットを考慮すると、”6時間以内にgrade II以上に達した症例”に投与することがある。皮内反応で事前チェックすることもあるが、ハイドロコートン200-500mgを先行投与することが推奨されている。
1V=6000U粉末を付属の注射用水20mLで溶かして、生食100mLにさらに希釈して1時間かけてドリップする。アレルギー反応が出たら即中止とする。1回目投与の後、改善がなければ、2時間後に3000単位 or6000単位の追加投与を行い24h, 48hの時点でも状況に応じて追加投与する。
参考
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