問題
問題 49
65 歳、男性。成人 T 細胞白血病で血液内科に通院中。2 年前より、前額部に図 22 に示す
褐色の皮疹が出現し、徐々に増数したことを主訴に来院した。皮疹部からの皮膚生検組織の
H&E 染色像を図 23、図 24 に示す。なお、生検組織から抽出した DNA を用いた PCR 法で
HPV-3 が検出された。診断は何か。
1. 扁平疣贅
2. 尋常性疣贅
3. 脂漏性角化症
4. ボーエン様丘疹症
5. 疣贅状表皮発育異常症
解答
問題 49
65 歳、男性。成人 T 細胞白血病で血液内科に通院中。2 年前より、前額部に図 22 に示す
褐色の皮疹が出現し、徐々に増数したことを主訴に来院した。皮疹部からの皮膚生検組織の
H&E 染色像を図 23、図 24 に示す。なお、生検組織から抽出した DNA を用いた PCR 法で
HPV-3 が検出された。診断は何か。
1. 扁平疣贅
HPV-3は扁平疣贅を引き起こす
2. 尋常性疣贅
HPV1,2,4,7など、免役抑制下ではHPV75-77などでも引き起こされる
3. 脂漏性角化症
臨床は類似しているが 病理で典型的なpseudohorn cystなどは見られない。
4. ボーエン様丘疹症
臨床的には黒色調で平らな丘疹が集簇するので、臨床的には似ている。HPV-16によるものが多い。また病理でその名の通りボーエン病のような核異型、表皮配列の乱れなど見られるため、病理も異なっている
5. 疣贅状表皮発育異常症
HPVの特定の型(HPV5、8、9、12、14、15、17、19~25、36~38、47、49 など)に対する免役がないことに起因する。EVER1/TMC6 と EVER2/TMC8の変異による
臨床写真からは脂漏性角化症や老人性色素斑などが鑑別に上がるだろうが、病理でコイロサイトーシスが目立つのHPV感染による変化だとわかる。なかでもHPV3は扁平疣贅を引き起こす
尋常性疣贅 | HPV2,4,7,26,29 |
扁平疣贅 | HPV3,10, 26-29, 41 |
糸状疣贅 | HPV2,27,57 |
手掌、足底疣贅 | HPV1,2,4 |
ミルメシア | HPV1 |
尖圭コンジローマ | HPV6,11、時にHPV16で高リスク |
疣贅状表皮発育異常症 | HPV5,8,9,12,14,15,17,19-26,36,47,50 など |
参考
疣贅状表皮発育異常症 (Epidermodysplasia verruciformis)
あたらしい皮膚科学
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