令和4年度 2022年度皮膚科専門医試験解答解説問題38

問題

問題

問題 38
COVID-19 の後遺症あるいは遷延する COVID-19 症状（LONG COVID）でみられる脱毛の
主な病態はどれか。
1．牽引性脱毛
2．圧迫性脱毛症
3．休止期脱毛症
4．男性型・女性型脱毛症
5．トリコチロマニア

解答

問題 38
COVID-19 の後遺症あるいは遷延する COVID-19 症状（LONG COVID）でみられる脱毛の
主な病態はどれか。
1．牽引性脱毛
毛髪が引っ張られて抜けたり、血行不良によって毛髪の成長が妨げられている。
2．圧迫性脱毛症
別名機械的脱毛。帽子やヘルメットを長時間かぶることによる圧迫など、外的な要因が原因となっている。
3．休止期脱毛症
COVID-19の後遺症として出現する脱毛はほぼこれ。95%が半年以内に改善する。
4．男性型・女性型脱毛症
COVID-19のメジャーな後遺症ではない
5．トリコチロマニア
自分の手で毛髪を引き抜いてしまい脱毛になっている。学童期に好発するが、本人は自覚していないことも多い。

COVID-19関連皮疹

COVID-19関連皮疹はGROUCHという概念で提唱されている　(PMID: 33053817)

G: Generalized maculo-papular(全身の斑状丘疹性皮疹), Grover’s disease（丘疹水疱性発疹）
R: livedo Reticularis (網状皮斑)
O: Other eruptions (その他：紫斑、血管炎、薬疹など)
U: Urticarial (蕁麻疹、蕁麻疹様紅斑)
CH:CHiblain-like (凍瘡様皮疹)

COVID-19感染症の後遺症としての皮膚症状

感染後14-120日に続く症状、Long COVIDもしくはpost COVID syndromeなどと呼ばれる

COVID-19感染者の約80%で何らかの後遺症がある、以下のものが多い

疲労 (58%)
頭痛 (44%)
注意力障害 (27%)
脱毛 (25%)
呼吸困難 (24%)

皮膚科で関係がありそうなのは脱毛で、休止期脱毛がほとんどを占める。COVID19後だけでなく、出産、ダイエット、そのほかの感染症、術後などにもみられる。COVID-19による休止期脱毛は女性に多くみられ、COVID-19の重症度とは関連がないとされている。95%が半年以内に回復するので、患者さんには伝えてあげるとよい。