問題
問題 34
ランゲルハンス細胞組織球症の約半数に生じている遺伝子異常は以下のうちどれか。
1. BRAF V600D 変異
2. BRAF V600E 変異
3. BRAF V600K 変異
4. CDKN2A 欠失
5. MAP2K1 変異
解答
問題 34
ランゲルハンス細胞組織球症の約半数に生じている遺伝子異常は以下のうちどれか。
1. BRAF V600D 変異
この変異はメラノーマであることを覚えておけばよいが、LCHにおいてもBRAFV600Dの変異が報告されているようでこれは自然治癒するらしい。別名Hashimoto-Pritzker disease(congenital selfhealing LCH)
2. BRAF V600E 変異
メラノーマの変異が有名だが、LCH患者の約50%でもみられる。LCH患者の腫瘍細胞に見られる変異で、マウスを用いた実験でも証明されているようです(PMID: 24638167)
3. BRAF V600K 変異
この変異はメラノーマであることを覚えておけばよい。LCHにおいては単一ドライバー変異としての報告はないと思います。
4. CDKN2A 欠失
膵臓がん・悪性黒色腫症候群などで見られる変異。ほかにも様々な疾患で見られる
5. MAP2K1 変異
LCH患者の20%くらいで見られる。in frame欠失でなくミスセンス変異で報告されている。
このBRAFの遺伝子の書き方はBRAFという遺伝子配列の600番目のアミノ酸が正常ではV(バリン)であるのがメラノーマなどのがん細胞ではE(グルタミン酸)に変化しているという意味
ランゲルハンス細胞組織球症
ランゲルハンス細胞は表皮にも存在するが、LCHは骨髄由来の樹状細胞が悪性化しているとされる。しかしながら電顕で見ると通常のランゲルハンス細胞とLCH細胞でバーベック顆粒の形態に変化はないとされている。腫瘍細胞にバーベック顆粒がLCHといえる
single-system (SS)型:単一臓器の病変、単発ではSS-single-site (SS-s)、多発病変ではSS multi-site (SS-m)
multi-system (MS)型:多臓器病変、リスク臓器(肝臓、脾臓、肺、造血器)の病変では MS risk-organ (MS-RO+)、リスク病変なしでは MS-RO-型に分類したりする。
余談だがほかに抑えておく組織球症にRosai-Dorfman病があるがこれもBRAF遺伝子変異がある。病理でemperipolesisの所見が大事
皮膚科としてLCHを疑う病変としては、小児の難治性の頭皮の脂漏性皮膚炎、汗疹様湿疹、皮下出血斑があると鑑別の下のほうにLCHを挙げておく
LCH疑いで生検したときの免役染色は
- CD1a
- Langerin
- S100
参考
リンク
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