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令和4年度 2022年度 皮膚科専門医試験 解答解説 問題33

問題

問題 33
 後天性免疫不全症候群(AIDS)による皮膚・粘膜症状としてあてはまらないものはどれ
か。
1. 遊走性紅斑
2. 口腔カンジダ症
3. 潰瘍性単純ヘルペス
4. 好酸球性膿疱性毛包炎
5. pruritic papular eruption

解答

問題 33
 後天性免疫不全症候群(AIDS)による皮膚・粘膜症状としてあてはまらないものはどれ
か。
1. 遊走性紅斑
マダニにかまれたときにそこを中心に中心部は退色しながら環状に紅斑が広がっていく
2. 口腔カンジダ症
3. 潰瘍性単純ヘルペス
4. 好酸球性膿疱性毛包炎
顔面を中心に毛孔一致性で孤立性、散在性の丘疹を呈する。HIV関連の場合は古典型よりもかゆみが強い。EPFについては問題2024-28も参照
5. pruritic papular eruption
かゆみの強い丘疹が上半身を中心に対称性に多発している。病理では真皮浅層血管周囲のリンパ球、好酸球浸潤が見られる。臨床的にはEPFと類似するが、EPFは病理で毛包および脂腺周囲の好酸球主体の炎症細胞浸潤を呈するところが異なる。

HIV関連の皮膚症状

  • ウイルス感染
    単純疱疹:免役不全が進行すると深い潰瘍をきたす
    帯状疱疹:CD4低値で重症化しやすいがCD4の値にかかわらず発症する
    伝染性軟属腫:CD4<200/uLくらいから出現、100以下で顔面、体幹陰部に多発。CD4が回復してくると自然消退
    尖圭コンジローマ:男性パートナー同士(men who have sex with men:MSM)で肛門周囲に多発、巨大化して難治のことも
  • 細菌感染
    毛嚢炎、せつ腫症、膿瘍、梅毒など
    HIV感染があると梅毒罹患率が高い。特にMSMで罹患率が高い。CD4の数値に関係なく罹患する。免役能が低い場合に深い潰瘍を呈したり、神経梅毒への進行が速いことがある。2期梅毒までは通常通り治療
  • 真菌感染
    口腔カンジダ、白癬、マラセチアなど
    AIDSの指標疾患に食道カンジダ、肺カンジダが含まれるが、口腔カンジダは含まれない。しかしながら口腔カンジダはAIDS発症前に比較的早めに出現する。爪白癬ではSWO型の比率が高い。爪白癬ではイトラコナゾールがHARRT治療と相互作用するので注意。
    脂漏性皮膚炎の合併も多くみられる
  • 腫瘍性病変
    カポジ肉腫、悪性リンパ腫、肛門部扁平上皮癌など
    カポジ肉腫:HHV-8感染による。CD4<50/uLで発症することが多い。
  • その他
    好酸球性膿疱性毛嚢炎:顔面をメインに毛孔一致性の丘疹が散在し、かゆみが強い。HIV 関連 EPF は治療抵抗性
    掻痒性丘疹 pruritic papular eruption:かゆみの強い丘疹が主に上半身を中心に対称性に多発。EPFとは細胞浸潤の主座が異なる
    薬疹:ニューモシスチス肺炎予防のST合材による薬疹、HARRT治療の薬剤による薬疹が多い。
    そのほか:尋常性乾癬、色素沈着、高専過敏性皮膚炎、血管炎、環状肉芽腫、乾皮症、赤痢アメーバ、疥癬などなど

免役再構築症候群 immune reconstitution inflammatory syndrome:IRIS

HIVについては上記も大事

HARRT施行後にCD4が回復してきているにも関わらず日和見感染の症状が顕在化してくることがある。

HAART 後の IRIS は 15~25% に生じるとされており,皮膚科領域では帯状疱疹が多い.その
他にも HSV,Kaposi 肉腫の一過性の悪化,伝染性軟属腫,疣贅,足白癬の炎症症状の悪化,EPF の悪化などがある。

参考

HIVAIDS

梅毒と HIV/AIDS

免疫再構築症候群

リンク

試験問題のリンク図表のリンクです

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