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令和4年度 2022年度 皮膚科専門医試験 解答解説 問題31

問題

問題 31
 紫外線に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1. 日焼けを起こす力は UVA のほうが UVB よりも強い。
2. 日本人に多いフォトスキンタイプは III から V である。
3. 光老化への寄与度は UVB のほうが UVA よりも高い。
4. 地上に到達する紫外線は UVB のほうが UVA よりも多い。
5. UVA による DNA 障害は主に UVA が直接 DNA に吸収されることで起こる。

解答

問題 31
 紫外線に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1. 日焼けを起こす力は UVA のほうが UVB よりも強い。
日焼けを起こす力で比べると、UVBはUVAの600-1000倍強いとされる。責任割合はUVBが7-8割、UVAが2-3割くらいとのこと。日焼けは紫外線によりメラノサイトが活性化し色素沈着を起こしている状態。表皮内のメラノサイトに強く作用するのは波長の短いUVBである。そのためUVBはシミなどの原因にもなり、一方、UVAは波長が長く皮膚の真皮にも作用するため、しわやたるみの原因となる。
2. 日本人に多いフォトスキンタイプは III から V である。
フィッツパトリックのスキンタイプを参照。II-IVくらいが日本人などの黄色人種に多いタイプ
3. 光老化への寄与度は UVB のほうが UVA よりも高い。
肌の老化には加齢及び光老化の2つがある。加齢による肌の老化は皮膚が薄くなって、色も薄くなる傾向があるが、光老化は紫外線防御が強く働いた結果として皮膚が分厚くごわごわになり、シミ、しわなどとして現れる。光老化が肌老化の8割占める。光老化の特徴は組織学的には真皮のsoler elastosisが著明になる点であり、この変化は真皮まで到達するUVAの作用によるところが多きい。日本皮膚科学会のサイトによると”シミ、しわ、皮膚癌などの慢性皮膚障害(光老化)についても圧倒的にUVBの影響が強い”と記載あり

4. 地上に到達する紫外線は UVB のほうが UVA よりも多い。
UVB以下の波長の短いものは、オゾン層に到達するまでに大部分が吸収されてしまうが、UVAは大気による吸収の影響を受けにくい。そのため、地表に到達する紫外線の9割がUVAとなる
5. UVA による DNA 障害は主に UVA が直接 DNA に吸収されることで起こる。
これはUVBによるDNA障害。UVBは波長が短いために核内のDNAにも直接吸収される。一方UVAは生体内の多くの分子に吸収され、その結果生じる活性酸素などを介してDNA損傷を引き起こしている

紫外線について

紫外線のエネルギーはE=hc/λ (h:プランク定数,c:光速, λ:波長)なので、波長が短いほど、エネルギーは大きくなる。また波長は長いほうがエネルギーは低いが、皮膚の深くまで作用する。ちなみに日サロで使用されている紫外線は主にUVA。UVCはエネルギーが強いので殺菌などの用途がある。実験のクリーンベンチにも使われている。UVB以下はガラスを通過しないので安全設計のはず

UVCUVBUVA可視光線赤外線
波長(nm)100-280280-315315-400400-770770以上
地表に到達0%10%90%
作用するところ主に表皮主に真皮
ガラスを通過しないしないする
紫外線より短い波長のものはX線、ガンマ線など

Fitzpatrikによるスキンタイプ

タイプ反応
I常に赤くなり、決して皮膚色が濃くならない
II常に赤くなり、その後少し皮膚色が濃くなる
III時々赤くなり、必ず皮膚色が濃くなる
IV決して赤くならず、必ず皮膚色が濃くなる
V皮膚色がとても濃い
VI黒人

参考

日本皮膚科学会 皮膚科Q & A

光障害(紫外線・可視光線・赤外線)と防御

リンク

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