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令和4年度 2022年度 皮膚科専門医試験 解答解説 問題27

問題

問題 27
 保険制度の規定上正しいのはどれか。
1. DLST を 10 種類の薬剤を検査し、保険請求した。
2. 円形脱毛症にナローバンド UVB 療法を行い、保険請求した。
3. 脂漏性皮膚炎患者に対し、初診時に皮膚科特定疾患指導管理料(II)を保険請求した。
4. 下肢壊死性筋膜炎の減張切開時に、創傷処置とデブリードマン加算を保険請求した。
ただし後日の植皮術の予定はない。
5. アトピー性皮膚炎患者に対し、デュピルマブ自己注射処方時、在宅自己注射管理料と
皮膚科特定疾患指導管理料(II)の両方保険請求した。

解答

問題 27
 保険制度の規定上正しいのはどれか。
1. DLST を 10 種類の薬剤を検査し、保険請求した。
3剤以上で515点になり(下記参照)、つまり4剤以上は算定できない。ちなみに1剤に対して約5,000,000のリンパ球が必要。単純計算でWBCが5000/uLとしてリンパ球分画が40%とすると、1mLあたり2,000,000のリンパ球が含まれる。つまり1剤DLSTを行うために少なくとも2.5mLの血液が必要となるし、通常は検体不足にならないように倍くらいの血液が必要。10剤となると25mLなので現実的ではないことが想像できる。
2. 円形脱毛症にナローバンド UVB 療法を行い、保険請求した。
外来についているときにコスト取ったこともあるはず。ナローバンドUVBの波長は311±2nm

算定できる疾患は、乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎又は円形脱毛症 。エキシマも308nmなので340点取れる
3. 脂漏性皮膚炎患者に対し、初診時に皮膚科特定疾患指導管理料(II)を保険請求した。
脂漏性皮膚炎は指導管理料IIの対象疾患であるが、初診料と指導管理料は同時に算定できない。また、初診後1か月以内の再診であっても、指導管理料は算定できない。指導管理料自体も1か月に2回以上算定できない。ちなみに指導管理料Iの疾患であれば初診料<再診料+指導管理料Iのほうが点数は大きくなる。
4. 下肢壊死性筋膜炎の減張切開時に、創傷処置とデブリードマン加算を保険請求した。
ただし後日の植皮術の予定はない。
厚労省のサイトによれば、”デブリードマンは、植皮を前提に行う場合にのみ算定すること”、と記載がある。
5. アトピー性皮膚炎患者に対し、デュピルマブ自己注射処方時、在宅自己注射管理料と
皮膚科特定疾患指導管理料(II)の両方保険請求した。
皮膚科特定疾患指導管理料を在宅自己注射指導管理料と同月に算定することはできない、外来で看護師に注射してもらっている人は、在宅自己注射ではなく、指導料を算定することになる。

B001_8 皮膚科特定疾患指導管理料 

イ 皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ) 250点

ロ 皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅱ) 100点

注1 皮膚科又は皮膚泌尿器科を標榜する保険医療機関において、皮膚科又は皮膚泌尿器科を担当する医師が、別に厚生労働大臣が定める疾患に罹患している患者に対して、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合に、当該疾患の区分に従い、それぞれ月1回に限り算定する。

2 区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日に行った指導又は当該初診の日から1月以内に行った指導の費用は、初診料に含まれるものとする。

3 入院中の患者に対して指導を行った場合又は退院した患者に対して退院の日から1月以内に指導を行った場合における当該指導の費用は、第1章第2部第1節に掲げる入院基本料に含まれるものとする。

4 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、皮膚科特定疾患指導管理料を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、イ又はロの所定点数に代えて、それぞれ218点又は87点を算定する。

皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ) 250点皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅱ) 100点
・天疱瘡
・類天疱瘡
・エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)
・紅皮症
・尋常性乾癬
・掌蹠膿疱症
・先天性魚鱗癬
・類乾癬
・扁平苔癬
・結節性痒疹及びその他の痒疹(慢性型で経過が1年以上のものに限る。)
・帯状疱疹
・じんま疹
・アトピー性皮膚炎(16 歳以上、外用療法を必要とする場合)
・尋常性白斑
・円形脱毛症
・脂漏性皮膚炎

帯状疱疹後神経痛でフォローしている患者は算定IIの対象外になる、という解釈が一般的だと思います

B001 特定疾患治療管理料より抜粋

K002 デブリードマン


1 100平方センチメートル未満1,410点
2 100平方センチメートル以上3,000平方センチメートル未満4,820点
3 3,000平方センチメートル以上11,230点

1 熱傷により全身の20パーセント以上に植皮を行う場合又はA群溶連菌感染症に 伴う壊死性筋膜炎の場合においては、5回に限り算定する。
選択肢の場合だと、植皮を行わないため、算定できない

2 注1の場合を除き、当初の1回に限り算定する。
壊死性筋膜炎であっても、A群溶連菌でない場合は初回算定のみとなる

3 骨、腱又は筋肉の露出を伴う損傷については、当初の1回に限り、深部デブリ ードマン加算として、1,000点を所定点数に加算する。

4 水圧式デブリードマンを実施した場合は、一連の治療につき1回に限り、水圧 式デブリードマン加算として、2,500点を所定点数に加算する。

5 超音波式デブリードマンを実施した場合は、一連の治療につき1回に限り、超 音波式デブリードマン加算として、2,500点を所定点数に加算する。

K002 デブリードマンより抜粋

J054 皮膚科光線療法(1日につき)

NB-UVBの波長は311±2nm
エキシマライトの波長は308nm


1 赤外線又は紫外線療法45点
注 入院中の患者以外の患者についてのみ算定する。
2 長波紫外線又は中波紫外線療法(概ね290ナノメートル以上315ナノメートル以下 のもの)150点
3 中波紫外線療法(308ナノメートル以上313ナノメートル以下に限定したもの)340点
通知
(1) 赤外線療法は、ソラックス灯等の赤外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。

(2) 紫外線療法は、フィンゼン灯、クロマイエル水銀石英灯等の紫外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。

(3) 赤外線又は紫外線療法(長波紫外線療法及び中波紫外線療法を除く。)は、5分以上行った場合に算定する。

(4) 長波紫外線又は中波紫外線療法は、長波紫外線(概ね 315 ナノメートル以上 400 ナノメートル以下)又は、中波紫外線(概ね 290 ナノメートル以上 315 ナノメートル以下)を選択的に出 力できる機器によって長波紫外線又は中波紫外線療法を行った場合に算定できるものであり、 いわゆる人工太陽等の長波紫外線及び中波紫外線を非選択的に照射する機器によって光線療法を行った場合は、赤外線又は紫外線療法の所定点数によって算定する。

(5) 中波紫外線療法(308 ナノメートル以上 313 ナノメートル以下に限定したもの)は、いわゆるナローバンド UVB 療法をいい、308 ナノメートル以上 313 ナノメートル以下の中波紫外線を選択的に出力できる機器によって中波紫外線療法を行った場合に算定する。

(6) 長波紫外線療法又は中波紫外線療法は乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫(症)、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎又は円形脱毛症に対して行 った場合に限って算定する。

(7) 赤外線療法、紫外線療法、長波紫外線療法又は中波紫外線療法を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。また、同じものを同一日に複数回行った場合で も、1日につき所定点数のみにより算定する。

(8) 皮膚科光線療法は、同一日において消炎鎮痛等処置とは併せて算定できない。

D016 細胞機能検査


1 B細胞表面免疫グロブリン157点
2 T細胞サブセット検査(一連につき)185点
3 T細胞・B細胞百分率198点
4 顆粒球機能検査(種目数にかかわらず一連につき)200点
5 顆粒球スクリーニング検査(種目数にかかわらず一連につき)220点
6 赤血球・好中球表面抗原検査320点
7 リンパ球刺激試験(LST)
イ 1薬剤345点
ロ 2薬剤425点
ハ 3薬剤以上515点

(1) 「5」の顆粒球スクリーニング検査は、白血球墨粒貪食試験、NBT還元能検査を、「4」の顆粒球機能検査は、化学遊走物質、細菌、光化学反応を用いた検査を、「2」の T細胞サブセット検査は、免疫不全の診断目的に行う検査をいい、いずれも検査方法にか かわらず、一連として算定する。

(2) 「6」の赤血球・好中球表面抗原検査は、発作性夜間血色素尿症(PNH)の鑑別診断のため、2種類のモノクローナル抗体を用いて赤血球及び好中球の表面抗原の検索を行っ た場合に算定できる。

(3) 「7」のリンパ球刺激試験(LST)は、Con-A、PHA又は薬疹の被疑医薬品によるものである。

D016 細胞機能検査より抜粋

さらに薬剤数、試行回数にかかわらず免疫学的検査判断料144点が1か月に1回まで算定できる

J054 皮膚科光線療法(1日につき)

  • 赤外線又は紫外線療法45点
  • 注 入院中の患者以外の患者についてのみ算定する。
  • 長波紫外線又は中波紫外線療法(概ね290ナノメートル以上315ナノメートル以下 のもの)150点
  • 中波紫外線療法(308ナノメートル以上313ナノメートル以下に限定したもの)340点

(1) 赤外線療法は、ソラックス灯等の赤外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。

(2) 紫外線療法は、フィンゼン灯、クロマイエル水銀石英灯等の紫外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。

(3) 赤外線又は紫外線療法(長波紫外線療法及び中波紫外線療法を除く。)は、5分以上行った場合に算定する。

(4) 長波紫外線又は中波紫外線療法は、長波紫外線(概ね 315 ナノメートル以上 400 ナノメートル以下)又は、中波紫外線(概ね 290 ナノメートル以上 315 ナノメートル以下)を選択的に出 力できる機器によって長波紫外線又は中波紫外線療法を行った場合に算定できるものであり、 いわゆる人工太陽等の長波紫外線及び中波紫外線を非選択的に照射する機器によって光線療法を行った場合は、赤外線又は紫外線療法の所定点数によって算定する。

(5) 中波紫外線療法(308 ナノメートル以上 313 ナノメートル以下に限定したもの)は、いわゆるナローバンド UVB 療法をいい、308 ナノメートル以上 313 ナノメートル以下の中波紫外線を選択的に出力できる機器によって中波紫外線療法を行った場合に算定する。

(6) 長波紫外線療法又は中波紫外線療法は乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫(症)、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎又は円形脱毛症に対して行 った場合に限って算定する。

(7) 赤外線療法、紫外線療法、長波紫外線療法又は中波紫外線療法を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。また、同じものを同一日に複数回行った場合で も、1日につき所定点数のみにより算定する。

(8) 皮膚科光線療法は、同一日において消炎鎮痛等処置とは併せて算定できない。

J054 皮膚科光線療法(1日につき)より抜粋

C101 在宅自己注射指導管理料

1 複雑な場合1,230点
2 1以外の場合
イ 月27回以下の場合650点
ロ 月28回以上の場合750点

基本的に皮膚科で使用する注射薬の指導は月27回以下のものである

C101 在宅自己注射指導管理料より抜粋

参考

B001 特定疾患治療管理料

K002 デブリードマン

J054 皮膚科光線療法(1日につき)

D016 細胞機能検査

C101 在宅自己注射指導管理料

皮膚科の在宅自己注射指導管理料【加算についても解説】

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