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令和4年度 2022年度皮膚科専門医試験 解答解説 問題25

問題

問題 25
 接触皮膚炎に関する記載として誤っているものはどれか。
1. ケトプロフェン、ピロキシカムは光接触皮膚炎を生じることがある。
2. ヒドロコルチゾン酪酸エステルはアレルギー性接触皮膚炎の原因となりうる。
3. フラジオマイシン硫酸塩の接触皮膚炎例ではゲンタマイシンとの交差反応に注意を
要する。
4. ヤマイモを食べた際に口の周りが痒くなるのはヤマイモに含まれるシュウ酸カルシ
ウムによる刺激性接触皮膚炎である。
5. angry back syndrome/excited skin syndrome とはパッチテストの際にテープ等に
よる機械的刺激によって生じる反応を指す。

解答

問題 25
 接触皮膚炎に関する記載として誤っているものはどれか。
1. ケトプロフェン、ピロキシカムは光接触皮膚炎を生じることがある。
この2つは有名。とくにモーラステープの袋には、はがした後も4週間程度は貼っていた部分に日光を当てないように、と記載されている。
2. ヒドロコルチゾン酪酸エステルはアレルギー性接触皮膚炎の原因となりうる。
ロコイドⓇのこと。とくに頻度の多いものとしてビスダームⓇ、プデソニド。ロコイドⓇ、デルモベートⓇ、リンデロンⓇ、ボアラⓇ、アルメタⓇなど。以下参照
3. フラジオマイシン硫酸塩の接触皮膚炎例ではゲンタマイシンとの交差反応に注意を
要する。
アミノグリコシド系の抗菌薬は基本構造が類似しているため、交差反応を起こしやすい。以下詳細
4. ヤマイモを食べた際に口の周りが痒くなるのはヤマイモに含まれるシュウ酸カルシ
ウムによる刺激性接触皮膚炎である。
このシュウ酸カルシウム結晶は針状になっている。もしかぶれてしまった場合には、このシュウ酸カルシウムを落としてあげればよい。シュウ酸カルシウムは酸に溶けるため、薄めたお酢や、レモン水で洗うとかゆみが若干改善する。
5. angry back syndrome/excited skin syndrome とはパッチテストの際にテープ等に
よる機械的刺激によって生じる反応を指す。
一つの抗原に対して反応が非常に強くなってしまい、貼付部位をはみだして、周囲の皮膚にもアレルギーを介さない反応を引き起こしてしまう。こうなってしまった際には、抗原同士が隣接しないように、より少ない抗原で再検査をするのが望ま
しい。一方で夏場などにパッチテストをすると、汗かぶれなどの刺激性皮膚炎により、angry back syndromeと似たような結果を引き起こすこともある。

ステロイド外用薬による接触皮膚炎

構造式の特徴に基づき、4つに分類されている。太字が頻度の比較的高いものとされる。以下はすべてアレルギー接触皮膚炎

Class A
ヒドロコルチゾン系
酢酸ヒドロコルチゾン(コルテス ®),ヒドロコルチゾン(エキザル
ベ ®),プレドニゾロン(ネオメドロール)
ClassB
トリアムシノロン系
トリアムシノロンアセトニド(レダコート ®,ケナコルト A®),ハル
シノニド(アドコルチン ®),フルシノニド(トプシム ®),アムシノ
ニド(ビスダーム ®)
,フルシノロンアセトニド(フルコート ®),
デソニド(ブテソン®;高頻度に接触皮膚炎を起こし,販売中止となる)
Class C
ベタメタゾン系
デキサメタゾン(グリメサゾン ®,オイラゾン ®)
Class D
ヒドロコルチゾン-17ブチレン系
酪酸ヒドロコルチゾン(ロコイド ®),酪酸プロピオン酸ヒドロコル
チゾン(パンデル ®),プロピオン酸デプロドン(エクラー ®),吉草
酸酢酸プレドニゾロン(リドメックス ®),プロピオン酸クロベタゾー
ル(デルモベート ®)
,酪酸クロベタゾン(キンダーベート ®),吉草
酸ベタメタゾン(リンデロン ®)
吉草酸デキサメサゾン(ボアラ ®,
ザルックス ®)
,吉草酸ジフルコルトン(ネリゾナ ®),ジプロピオン
酸ベタメサゾン(リンデロン DP®),酪酸プロピオン酸ベタメサゾン
(アンテベート ®),プロピオン酸ベクロメタゾン(プロパデルム ®),
ジプロピオン酸デキサメサゾン(メサデルム ®),ピバル酸フルメタ
ゾン(ロコルテン ®),アルクロメタゾン(アルメタ ®),フランカル
ボン酸モメタゾン(フルメタ ®),ジフルプレドナート(マイザー ®),
酢酸ジフロラゾン(ダイアコート ®)
同じグループ内では交差反応することが多い。またグループ間では、ClassBとDの交差反応が多い
またパッチテストでは96-1w判定が重要とされる(ステロイド自体は炎症を減弱ないし遷延させるため)

抗菌薬、抗真菌薬による接触皮膚炎

アミノグリコシド系は基本構造骨格の deoxystreptamineをもつその他のアミノグリコシド系とも交差反応する。外用でかぶれた後に同系統の注射薬を使用すると、全身性接触皮膚炎として薬疹が誘発されることもある。OTCにも頻繁に含まれるため問診は大事。

頻度の多いものは太字

アミノグリコシド系硫酸フラジオマイシン(ソフラチュール ®,クロマイ P 軟膏 ®,フラ
ジオ軟膏 ® バラマイシン軟膏 ®),ゲンタマイシン(ゲンタシン軟膏 ®),
カナマイシン(カナマイシン軟膏 ®)
アミノグリコシド系以外クロラムフェニコール(クロマイ P 軟膏 ®,クロロマイセチン軟膏 ®),
バシトラシン(バラマイシン軟膏 ®),フシジン酸ナトリウム(フシ
ジンレオ軟膏 ®)ナジフロキサシン(アクアチムクリーム ®),スルファ
ジアジン銀(ゲーベンクリーム ®),塩酸オキシテトラサイクリン(テ
ラコートリル軟膏 ®,テラマイシン軟膏 ®)リン酸クリンダマイシン(ダ
ラシン T ゲル ®)硫酸ポリミキシン B(テラマイシン軟膏 ®,硫酸ポ
リミキシン B 末 ®)エリスロマイシン(エリスロマイシン軟膏 ®)
イミダゾール系抗真菌薬クロマトリゾール(エンペシド ®),ケトコナゾール(ニゾラール ®)
塩酸ネチコナゾール(アトラント ®),ルリコナゾール(ルリコン ®),
硝酸スルコナゾール(エクセルダーム ®),ビホナゾール(マイコスポー
ル ®),ラノコナゾール(アスタット ®)
イミダゾール系以外の抗真菌薬塩酸アモロルフィン(ペキロン ®),塩酸テルビナフィン(ラミシー
ル ®),塩酸ブテナフィン(メンタックス ®,ボレー ®),トルナフテー
(ハイアラージン ®)

参考

「パッチテストの基本手技と解釈」

接触皮膚炎診療ガイドライン 2020

試験問題のリンク図表のリンクです

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