問題
問題 21
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版において、女性型脱毛症の治療とし
て<D.行うべきでない>ものはどれか。2 つ選べ。
1. ミノキシジル内服
2. フィナステリド内服
3. アデノシン外用
4. ケトコナゾール外用
5. 1%ミノキシジル外用
解答
問題 21
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版において、女性型脱毛症の治療とし
て<D.行うべきでない>ものはどれか。2 つ選べ。
1. ミノキシジル内服
男性女性ともに推奨度D。もともとは降圧剤として開発されたが、副作用として全身の多毛があり、それを期待して個人で輸入したり、闇医者?が処方したりする。むしろ発毛よりも心血管系の作用が大きいので勧められない
2. フィナステリド内服
男性では推奨度A。女性ではD。プラセボと有意差がないどころか、万が一妊婦に投与してしまうと男子胎児の生殖器の正常発育に影響を及ぼしてしまう可能性があるため禁忌。デュタステリドも同様に禁忌。使用初期に休止期脱毛があるので説明が必要
3. アデノシン外用
女性には推奨度C1。男性ではB。男性では発毛の根拠は十分だが、女性では不十分とされている。しかし副作用が軽微で、すでに女性用の製品が市場にあるため、使用する分にはよい。
4. ケトコナゾール外用
推奨度C1。男性型脱毛症においては根拠は弱いが発毛する可能性があるとされている。女性型ではRCTが組まれておらず、効果は不明だが、副作用をあまり心配する必要がないため、行ってもよいとする。
5. 1%ミノキシジル外用
推奨度A。女性型脱毛症で推奨度Aはこれだけ。男性用のリアップは5%ミノキシジルだが、女性用のリアップリジェンヌは1%となっている。女性で5%ミノキシジルが有意に奏功しているかははっきりしていない。使用初期に休止期脱毛がおこることを説明する。
5αリダクターゼ
I型 | II型 | |
分布 | 毛乳頭細胞や皮脂腺を中心に全身に分布 頭部では側頭部、後頭部に強く発現 | 頭部では前頭部や頭頂部に多く発現 |
阻害する薬剤 | デュタステリド | フィナステリド デュタステリド |
注意点
- 休止期脱毛が起こる。内服前の倍くらい抜けてる、みたいに言ってくる人もいる。これは毛の下から新しい毛が生えてきて古い毛が押し出されているためにおこるとされるので、むしろ生えてきているサインであるとポジティブにとらえる。
- PSA値が50%程度低下するので、もし検査をする際にはその値を2倍する
- 内服中は献血できない。中止後1か月以降はOK
おまけ
DHTが作用するARをコードする遺伝子配列はX染色体上にある。
ARは6個のエクソンから構成されるがエクソン1の配列には個人差がある。
エクソンIの塩基配列でCAGないしGGCの繰り返しが少ないほどARの合成効率が高くなる。つまり細胞内で合成されるARが多くなりその分DHTも結合しやすくなるためAGAを発症しやすい。
一方でCAGないしGGCのリピートが少ない患者ほど、フィナステリドによる治療効果が高くなる。
参考
リンク
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