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令和4年度 2022年度皮膚科専門医試験 解答解説 問題16

問題

問題 16
 神経線維腫症 1 型(NF1)について正しいのはどれか。3 つ選べ。
1. NF1 が悪性腫瘍を合併する割合は健常人より高い。
2. NF1 モザイクでは病変部以外に健常部でも NF1 の変異がみられる。
3. 悪性末梢性神経鞘腫瘍の画像診断には MRI よりも CT の方が有用である。
4. 腫瘍への放射線治療は健常人より二次的な悪性腫瘍の発生リスクを高める。
5. 小児の半数以上で unidentified bright objects と呼ばれる脳 MRI 病変がみられる。

解答

問題 16
 神経線維腫症 1 型(NF1)について正しいのはどれか。3 つ選べ。
1. NF1 が悪性腫瘍を合併する割合は健常人より高い。
2. NF1 モザイクでは病変部以外に健常部でも NF1 の変異がみられる。
モザイクのばあいはもとからあった細胞が皮膚に移行する過程で変異が出現するので、病変部以外には変異は見られないし、この場合は遺伝しない。一方、遺伝するようなgermlineにある変異のばあいには病変がないところにも変異が見られると考えられる。
3. 悪性末梢性神経鞘腫瘍の画像診断には MRI よりも CT の方が有用である。
MRIでは良性のばあいtarget signがみられ、悪性では見られない。腫瘍径>10cm、腫瘍内の嚢胞変性。腫瘍周囲の浮腫性変化、辺縁のみが造影される。、T1協調で不均一な信号などが見られると悪性を疑う。
4. 腫瘍への放射線治療は健常人より二次的な悪性腫瘍の発生リスクを高める。
NF2に対しては低位放射線やガンマナイフを使用するが、NF1に合併する悪性末梢神経鞘腫瘍自体放射線治療や化学療法の効果が低い。

5. 小児の半数以上で unidentified bright objects と呼ばれる脳 MRI 病変がみられる。
小脳、脳幹、基底核などにT2強調像で高信号が見られる。原因は不明だが脳腫瘍の発生母地となることはほとんどなく、通常治療は不要。

神経線維腫症1型

古い分類では神経線維腫症は1-8型まで分類されいている (Riccard VM,Curr Probl Genet, 1982)。国家試験レベルではNF1,2だけ覚えておけばよい。

原因遺伝子ニューロフィブロミン (NF)
遺伝形式常染色体優性遺伝
発生率1/3000
半数以上は孤発例
7-8%でモザイク 
皮膚病変色素斑カフェオレ斑
雀卵斑様色素斑
有毛性青褐色斑
大型の褐色斑
神経線維腫皮膚の神経線維腫
神経の神経線維腫
びまん性神経線維腫
悪性末梢神経鞘腫瘍
その他若年性黄色肉芽腫
グロムス腫瘍
貧血母斑
神経系の病変脳腫瘍
脳神経、脊髄神経の神経線維腫
unidentified bright object
骨病変脊椎の変形
先天性脛骨偽関節症
頭蓋骨、顔面骨の欠損
眼病変虹彩小結節 (Lisch nodule)
視神経膠腫
その他褐色細胞腫
GIST
合併頻度初発年齢
カフェオレ斑95%出生時
皮膚の神経線維腫95%思春期
神経の神経線維腫20%学童期
びまん性神経線維腫10%学童期
大型の褐色斑5%出生時
雀卵斑様色素斑95%幼児期
視神経膠腫1%小児期
虹彩小結節80%小児期
側彎症10%学童期
四肢骨の変形、骨折3%乳児期
頭蓋骨、顔面骨の欠損5%出生時
若年性黄色肉芽腫30%幼児期
脳腫瘍3%30歳ごろ
悪性末梢神経鞘腫瘍2%30歳ごろ
グロムス腫瘍1%不明
褐色細胞腫0.1%不明
GIST5-25%不明

参考

1.神経線維腫症 1 型

神経線維腫症 1 型(レックリングハウゼン病)診療ガイドライン 2018

リンク

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