問題
問題 14
X 連鎖性魚鱗癬について正しいのはどれか。2 つ選べ。
1. 顆粒層が菲薄化する。
2. 原因遺伝子は STS である。
3. 通常、頭皮には鱗屑を認めない。
4. Xp22.3 領域の欠失を調べる FISH 法が診断に有用である。
5. ほとんどの場合、原因遺伝子の点突然変異により発症する。
解答
問題 14
X 連鎖性魚鱗癬について正しいのはどれか。2 つ選べ。
1. 顆粒層が菲薄化する。
角層までは正常に形成されるが、角層の脱落が起こらない。つまり顆粒層は正常である。もしくは軽度肥厚している。
2. 原因遺伝子は STS である。
steroid sulfatase:STS遺伝子の点突然変異、もしくはXp22.31の大規模欠失により発症。ステロイドサルファターゼが欠損すると硫酸コレステロールが角層細胞間に蓄積し,角層細胞が剥離遅延が起こり発症する
3. 通常、頭皮には鱗屑を認めない。
四肢伸側、頭皮、体幹などに皮疹を認める。一方で、掌蹠、爪などは変化しない
4. Xp22.3 領域の欠失を調べる FISH 法が診断に有用である。
ステロイドサルファターゼ遺伝子の大規模欠失を FISH 法にて視覚化できるため有用。PCR法でも大規模欠失であれば増幅されず診断できるが、保因者や点突然変異はもう一方のアレルから増幅されるので見落としてしまう。
FISH法: Fluorescence in situ hybridization法は染色体のDNAをアルカリなどで1本鎖に処理して(denature)標的遺伝子と相補的な合成配列のプローブを反応させる。蛍光プローブが観察しやすいように対比染色としてDAPIを使用したりする。今回の場合だとSTSの大規模欠失があれば、STSに対応するプローブが結合しないので光らなくなる。
5. ほとんどの場合、原因遺伝子の点突然変異により発症する。
点突然変異とはDNAないしRNAの一つの塩基が置換されること。一般的に置き換わる保有頻度が1%以上ではSNP:1塩基多型、といったり、1%未満であれば変異といったりする。
X連鎖性魚鱗癬
遺伝形式 | X連鎖性劣性遺伝 |
原因遺伝子 | STS(ステロイドサルファターゼ) 角質細胞間を接着する硫酸コレステロールを分解する酵素 変異により硫酸コレステロールが蓄積して角層を切断できなくなり角層の剥離遅延が起こる |
頻度 | 1/2000-6000 出生男児あたり |
発症時期 | 0-3か月ごろから |
分布 | 四肢伸側(時に屈側)、体幹(腹部>背部)、頭部、耳介前面、うなじ 正常部:手掌、足底、頭髪、爪 |
予後 | 思春期くらいで症状が固定し、年齢とともに改善してくる |
病理 | 角層の肥厚、顆粒層は正常~軽度肥厚 |
合併症 | 角膜混濁、停留睾丸、精神発達遅滞、低身長、親は出産時に遷延性分娩、、など また、保因者の女性はSTS変異により胎盤のステロイド合成が阻害されるため尿中ステロイドの減少、血清エストリオールの低下などが見られる |
参考
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