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令和4年度 2022年度皮膚科専門医試験 解答解説 問題6

問題

問題 6
 非結核性抗酸菌症について、正しい記載を 2 つ選べ。
1. T-SPOT は陰性である。
2. 通常はヒトからヒトへ感染しない。
3. 標準的治療は感受性のある薬剤による単剤療法である。
4. いわゆる MAC(M. avium complex)症には皮膚病変が多い。
5. 培養検査は 37℃と 25℃前後の室温で行うことが推奨される。

解説

問題 6
 非結核性抗酸菌症について、正しい記載を 2 つ選べ。
1. T-SPOT は陰性である。
ELISPOT法と呼ばれていて、全血からPBMC(末梢血単核球)を分離→抗IFNγ抗体が張り付いているマイクロプレート内で、PBMCと結核菌特異抗原を反応させる(過去に感染していればPBMCがIFNγを産生する)→産生したIFNγがマイクロプレート中の抗IFNγ抗体と反応する→IFNγを標識する2次抗体を加えると→IFNγを産生したPMBCの痕跡がスポット状に見ることができる。一方で従来のQTFは採血管内に抗原が塗布されているのでその中で抗原刺激を行い産生したIFNγをサンドイッチELISA法で定量している。
反応させている結核菌特異抗原であるESAT-6 および CFP10はBCG ワクチンや結核菌以外のほとんどの抗酸菌とは交差性は示さないが,M.kansasii,M.szulgai,M.marinum,M.gordonae 感染では陽性の結果を示すので注意。
2. 通常はヒトからヒトへ感染しない。
結核と異なりヒトからヒトへ感染しないので、届け出もしないし、隔離もしないし、入院することも少ない。しかしながら、M. abscessusはヒトから感染する可能性があるとの報告あり。(PMID: 27846606

3. 標準的治療は感受性のある薬剤による単剤療法である。
抗酸菌症は抗菌薬の内服治療が長期になり,薬剤感受性が低い菌が多いことから,耐性菌を出現させないため必ず多剤(2 剤以上)で治療を行う。
4. いわゆる MAC(M. avium complex)症には皮膚病変が多い。
MACは皮膚病変も呈するが、肺病変が多い。皮膚病変を呈するNTMとしてM. Leprae, M. marinum, M. ulcerans, m. avium, M. haemophilum, M. Chelonae, M. abscessusなどがある
5. 培養検査は 37℃と 25℃前後の室温で行うことが推奨される。
NTMでは37℃で発育しにくい菌種もあり、低温で発育するものもあるため2通りの温度設定にする。ちなみにハンセン病の原因であるM. lepraeは培養できない。

非結核性抗酸菌症にはハンセン病と皮膚結核を除くすべての抗酸菌症が含まれる。

参考

抗酸菌感染症

T スポット®.TB について

リンク

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