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皮膚科専門医試験問題と解答解説 2021年度 記述問題9

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問題

問題 9.1 歳頃から胸部,下顎,前腕に図 44,図 45,図 46 のような皮疹が出現した.精査にて心臓腫瘍(横紋筋腫)および脳腫瘍(上衣下結節,皮質結節)が認められた.顔面皮膚病変に対して保険適用のある外用薬剤名を記せ.

解答解説

問題 9.1 歳頃から胸部,下顎,前腕に図 44,図 45,図 46 のような皮疹が出現した.精査にて心臓腫瘍(横紋筋腫)および脳腫瘍(上衣下結節,皮質結節)が認められた.顔面皮膚病変に対して保険適用のある外用薬剤名を記せ.

ラパリムスゲル

診断は結節性硬化症。顔面の血管線維腫に対してラパリムスゲルが保険適応となっている

結節性硬化症は全身の過誤腫が特徴の常染色体優勢遺伝疾患。TSC1,TSC2 遺伝子産物である
Hamartin-Tuberin 複合体が mTOR 抑制を介して,細胞増殖に関与し、皮膚や,脳神経系,腎臓,肝臓,肺,消化管,骨などほぼ全身に過誤腫や白斑,さらに精神発達遅滞、異常行動などの症状を呈する。

結節性硬化症で覚えておく皮膚症状は以下の4つ

  • 白斑:出生時の白斑では結節性硬化症が鑑別に上がる
  • 顔面の血管線維腫(Facial Angiofibroma):5歳以上の80%に出現
  • 粒 起 革 様 皮, シ ャ グ リ ン パ ッ チ(ShagreenPatches):5歳頃から思春期くらいまでに出現
  • 爪線維腫(ungual fibromas,Koenen tumor):30歳以上の80%以上で見られる。結節性硬化症と関係なく、digital fibrokeratomaとして見かけることもある

遺伝子検査TSC1,TSC2 遺伝子のいずれかに機能喪失変異があれば確定
変異がなくても否定はできない
大症状3 個以上の低色素斑(直径が 5mm 以上)
顔面の 3 個以上の血管線維腫または前額部,頭部の結合織よりなる局面
2 個以上の爪囲線維腫(ungual fibromas)
シャグリンパッチ(shagreen patch/connective tissue nevus)
多発性の網膜の過誤腫(multiple retinal nodular hamartomas)
大脳皮質の異型性(大脳皮質結節(cortical tube)・
放射状大脳白質神経細胞移動線(cerebral white matter radial migration lines)を含める)
脳室上衣下結節(subependymal nodule)
脳室上衣下巨大細胞性星状細胞腫(subependymal giant cell astrocytoma)
心の横紋筋腫(cardiac rhabdomyoma)
リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis LAM)
血管筋脂肪腫(renal angiomyolipoma)(2 個以上)
小症状散在性小白斑(confetti skin lesions)
3 個以上の歯エナメル質の多発性小腔(multiple,randomly distributed dental enamel pits)
2 個以上の口腔内の線維腫(intraoral fibromas)
網膜無色素斑(retinal achromic patch)
多発性腎囊腫(multiple renal cyst)
腎以外の過誤腫(nonrenal hamartoma)
Definitive TSC大症状 2 つ,または大症状 1 つと小症状 2 つ以上
Possible TSC大症状 1 つ,または小症状 2 つ以上
診断基準

参考

結節性硬化症の診断基準及び治療ガイドライン―改訂版―

その他

解答解説に間違いがあればお手数ですがコメントで教えてください

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