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皮膚科専門医試験問題と解答解説 2021年度 問題100

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問題

問題 100.乾癬の生物学的製剤治療における医療費助成について正しいのはどれか,2 つ選べ.
1. A さん(73 歳,年収 180 万円)は 3 か月に 1回の来院で生物学的製剤治療を受けている.来
院毎の医療費の自己負担額は高額療養費制度の医療費助成を受けることで,18,000 円となる.
2. B さん(50 歳,年収 360 万円)は 3 か月に 1回の来院で生物学的製剤治療を 3 年間継続し
て受けており,最近の自己負担額は高額療養費制度の医療費助成を受け,来院毎に 44,400 円
であった.病勢のコントロールは良好であったため医師と相談し,1 年間休薬したが,再燃し
てきたため再度同じ治療を行うことになった.その際の治療再開 1 回目の自己負担額は医療
費助成を受けて 44,400 円となる.
3. C さん(55 歳,年収 600 万円)は 3 か月に 1回の来院で生物学的製剤治療を受けている.C
さんの保険では付加給付制度が利用でき,自己負担の上限額が 25,000 円に設定されているた
め,高額療養費制度の自己負担限度額を病院窓口には一旦は支払うが,後に差額分を給付金と
して受け取れるため,来院毎の自己負担額は実質 25,000 円となる.
4. D さん(40 歳,年収 300 万円)は汎発型の膿疱性乾癬であり,生物学的製剤の治療を受けて
いる.難病医療費助成の対象となり「医療受給者証」が交付されているため,窓口での自己負
担額は 0 円である.
5. E さん(50 歳,年収 1,300 万円)は 3 か月に 1回の来院で生物学的製剤治療を受けている.高
額所得者であり,高額療養費制度において,自己負担限度額の所得区分が最上位の「ア」であ
るが,高額療養費制度の医療費助成を受けることで,自己負担額を軽減することができる.

解答解説

問題 100.乾癬の生物学的製剤治療における医療費助成について正しいのはどれか,2 つ選べ.
1. A さん(73 歳,年収 180 万円)は 3 か月に 1回の来院で生物学的製剤治療を受けている.来
院毎の医療費の自己負担額は高額療養費制度の医療費助成を受けることで,18,000 円となる.

2. B さん(50 歳,年収 360 万円)は 3 か月に 1回の来院で生物学的製剤治療を 3 年間継続し
て受けており,最近の自己負担額は高額療養費制度の医療費助成を受け,来院毎に 44,400 円
であった.病勢のコントロールは良好であったため医師と相談し,1 年間休薬したが,再燃し
てきたため再度同じ治療を行うことになった.その際の治療再開 1 回目の自己負担額は医療
費助成を受けて 44,400 円となる.
1年休薬しているので多数回該当に当たらないため、167400円+αを支払うことになる。休薬時には多数回該当が外れる可能性を説明する必要がある。
3. C さん(55 歳,年収 600 万円)は 3 か月に 1回の来院で生物学的製剤治療を受けている.C
さんの保険では付加給付制度が利用でき,自己負担の上限額が 25,000 円に設定されているた
め,高額療養費制度の自己負担限度額を病院窓口には一旦は支払うが,後に差額分を給付金と
して受け取れるため,来院毎の自己負担額は実質 25,000 円となる.


4. D さん(40 歳,年収 300 万円)は汎発型の膿疱性乾癬であり,生物学的製剤の治療を受けて
いる.難病医療費助成の対象となり「医療受給者証」が交付されているため,窓口での自己負
担額は 0 円である.
難病申請が通っていても所得に応じて2割負担かつ上限が設定されている。300万円の年収のため上限20000円を支払うことになる。(年6回以上で10000円)
5. E さん(50 歳,年収 1,300 万円)は 3 か月に 1回の来院で生物学的製剤治療を受けている.高
額所得者であり,高額療養費制度において,自己負担限度額の所得区分が最上位の「ア」であ
るが,高額療養費制度の医療費助成を受けることで,自己負担額を軽減することができる.
区分アの場合、3割負抜きで80万以上の支払いが必要。ステラーラの倍量投与を行ったとしても76-7万円程度なので上限に達しない。そのため、多数回該当にも到達することができない。負荷給付金制度の確認および、医療保険の特約を確認するか、確定申告で医療費控除も申告すべきだと思う。

70歳未満所得区分/年収通常多数回該当
1160万円以上252600円+(医療費-842000)x1%140100円
770-1160万円167400円+(医療費-558000)x1%93000円
370-770万円80100円+(医療費-267000)x1%44400円
370万円未満57600円44400円
住民税非課税35400円24600円
70歳以上所得区分/年収外来(個人ごと)1ヶ月の上限(世帯ごと)多数回該当
現役並み1160万円以上252600円+(医療費-842000)x1%140100円
770-1160万円167400円+(医療費-558000)x1%93000円
370-770万円80100円+(医療費-267000)x1%44400円
一般156-370万円18000円 (年間 144000円)57600円44400円
住民税非課税等II 住民税非課税世帯8000円24600円適応なし
I 住民税非課税世帯15000円適応なし
階層区分 階層区分の基準一般高額かつ長期人工呼吸器など装着
生活保護000
低所得I住民税非課税世帯本人年収80万円未満2500円2500円1000円
低所得II本人年収80万円以上5000円5000円
一般所得I課税以上7.1万円未満 (約160-370万円)10000円5000円
一般所得II7.1万円以上25..1万円未満 (約370-810万円)20000円10000円
上位所得25.1万円以上 (約810万円-)30000円20000円
医療費が
毎月5万円以上
年間6回以上
指定難病に対する医療費助成

覚えておくべきこととして

  • 多数回該当:過去12ヶ月以内に3回以上自己負担上限に達した場合に4回目から自己負担額が下がるため、多数回該当からはずれないように、治療の予定を組んで上げる必要がある。
  • 負荷給付金制度のアナウンス:協会けんぽや国保のような中小企業、自営業では該当しないが、大企業では福利厚生として使える可能性がある
  • 通常働いている人は区分ウのことが多いのでここだけは暗記
  • あとは自分の場合にどうなるかを確認しておくと良いだろう


参考

その他

解答解説に間違いがあればお手数ですがコメントで教えてください

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