問題
問題 77.神経線維腫症(NF)について正しいのはどれか.2 つ選べ.
1. NF1 型は眼の Lisch 結節が特徴的である.
2. NF1 型は孤発例はまれである.
3. NF2 型では両側聴神経の神経線維腫がしばしばみられる.
4. NF2 型はニューロフィブロミンの遺伝子変異により発症する.
5. カフェオレ斑に対するレーザー療法には保険適用がある.
解答と解説
問題 77.神経線維腫症(NF)について正しいのはどれか.2 つ選べ.
1. NF1 型は眼の Lisch 結節が特徴的である。
診断基準にも含まれているので重要な所見だが視力障害をきたすことはないので、通常治療することはない
2. NF1 型は孤発例はまれである.
常染色体優性遺伝だが、半数以上は孤発例、また10%でモザイクがあるので稀とは言えない。
3. NF2 型では両側聴神経の神経線維腫がしばしばみられる.
4. NF2 型はニューロフィブロミンの遺伝子変異により発症する.
NF1はneurofibrominだが、NF2はmerlinまたはschwannominである。NF2と関連しない神経鞘腫、髄膜腫などでもmerlinの異常がみられる。
5. カフェオレ斑に対するレーザー療法には保険適用がある.
レーザー治療に保険適応がある代表的な疾患は。単純性血管腫、いちご状血管腫。毛細血管拡張症、太田母斑、異所性蒙古斑、扁平母斑、外傷性刺青など。カフェオレ斑に有効という説もあるが、再発、色素沈着、色素脱失などの有害事象も多い
(診断基準)
1.6個以上のカフェ・オ・レ斑 (通常は1-5cm程度、小児は0.5cmくらいでOK)
2.2個以上の神経線維腫(皮膚の神経線維腫や神経の神経線維腫など)またはびまん性神経線維腫
2022年にびまん性神経線維腫にコセルゴカプセルが保険適応となった
3.腋窩あるいは鼠径部の雀卵斑様色素斑(freckling)
4.視神経膠腫(opticglioma)
5.2個以上の虹彩小結節(Lischnodule)
6.特徴的な骨病変の存在(脊柱・胸郭の変形,四肢骨変形,頭蓋骨・顔面骨の骨欠損)
7.家系内に同症
7項目中 2項目以上で神経線維腫症 1型と診断する.
<その他の参考所見>
1.大型の褐色斑
2.有毛性褐青色斑 (通常は硬毛)
3.若年性黄色肉芽腫
4.貧血母斑
5.脳脊髄腫瘍
6.褐色細胞腫
7.悪性末梢神経鞘腫瘍
カフェオレ斑 | 95% | 出生時 |
皮膚神経線維腫 | 95% | 思春期 |
神経の神経線維腫 | 20% | 学童期 |
びまん性神経線維腫 | 10% | 学童期 |
Freckling | 95% | 幼児期 |
視神経膠腫 | 1% | 小児期 |
Lisch nodule | 80% | 小児期 |
側弯 | 10% | 学童期 |
四肢骨変形 | 3% | 乳児期 |
頭蓋顔面骨欠損 | 5% | 出生時 |
時々明らかにNF1なのに一回も診断されたことない人がいて、特定疾患申請できるか調べることがあるので、基準を確認しておくとよい。stage4-5で申請することが可能
Stage1:D1であって N0かつ B0又は B1であるもの
Stage2:D1又は D2であって N2及び B3を含まないもの
Stage3:D3であって N0かつ B0であるもの
Stage4:D3であって N1又は B1,B2のいずれかを含むもの(ただし Stage5に含まれるものを除く)
Stage5:D4,N2,B3のいずれかを含むもの
皮膚症状(D)
D1:色素斑と少数の神経線維腫が存在する
D2:色素斑と比較的多数の神経線維腫が存在する
D3:顔面を含めて極めて多数の神経線維腫が存在する
D4:びまん性神経線維腫などによる機能傷害や著しい身体的苦痛又は悪性末梢神経鞘腫瘍の併発あり
神経症状(N)
N0:神経症状なし
N1:麻痺,痛み等の神経症状や神経系に異常所見がある
N2:高度あるいは進行性の神経症状や異常所見あり
骨症状(B)
B0:骨症状なし
B1:軽度の脊柱変形ないし四肢骨変形あり
B2:中程度の non-dystrophictypeの脊柱変形あり
B3:高度の骨病変あり<四肢骨変形,骨折,偽関節,dystrophictypeの脊柱変形(側彎あるいは後彎),頭蓋骨欠損または顔面骨欠損>
かなり余談だが実は神経線維腫は1-8型まで分けられている
特徴 | 遺伝性 | カフェオレ斑 | 神経線維腫 | Lisch nodule | CNS病変 | その他 | |
NF1 | Von Recklinghausen | + | diffuse | diffuse | + | + | |
NF2 | Acoustic | + | diffuse | diffuse-few | – | 両側聴神経鞘腫 | ? |
NF3 | Mixed | + | diffuse | diffuse-few | ? | + | NF1とNF2の混合型だが、 異なる遺伝子異常なので、 そんなものは存在しない説も |
NF4 | Variant | +/- | diffuse | ? | ? | ? | いくつかのケースでカフェオレ斑が見られないケースもある |
NF5 | Segmental | Limited | Limited | – | ? | モザイクなので遺伝しない | |
NF6 | CLS | ? | diffuse | – | – | – | ? |
NF7 | Late onset | ? | – | diffuse | – | ? | 家族例はないが、遺伝性があるかは不明 |
NF8 | Not otherwise specified | ? | ? | ? | ? | ? | ? |
その他
解答解説に間違いがあればお手数ですがコメントで教えてください
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