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皮膚科専門医試験問題と解答解説 2021年度 問題73

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問題

問題 73.34 歳,女性.右臀部に粟粒大の血管拡張を伴う丘疹が集簇し,局面を形成している(図 20).尿沈渣の所見を図 21 に示す.本症例でみられないのはどれか.
1. 骨炎
2. 乏汗症
3. 腎障害
4. 四肢の疼痛
5. 角膜の渦巻状混濁

解答と解説

問題 73.34 歳,女性.右臀部に粟粒大の血管拡張を伴う丘疹が集簇し,局面を形成している(図 20).尿沈渣の所見を図 21 に示す.本症例でみられないのはどれか.
1. 骨炎
2. 乏汗症
3. 腎障害
4. 四肢の疼痛
5. 角膜の渦巻状混濁

臨床写真がわかりにくいが、被角血管腫だと分かれば、代表的な疾患であるFabry病であると推測できる。特徴的なのは尿沈渣の写真でマルベリー小体と名前がついている。疾患特異度が高く、尿蛋白より先に出現するのでファブリー病に診断に有用な所見。酵素補充療法の治療判定にも使えるらしい。マルベリー小体は渦巻き状の脂肪球で、マルベリー細胞はマルベリー小体が集まって桑の実みたいに見えるポドサイト由来の細胞

ライソゾーム内の加水分解酵素であるαGALが作られないことにより、気質のグロボトリアオシルセラミド (Gb3,GL3,など)が腎臓、心筋、血管内皮、自律神経節、汗腺、角膜などに蓄積することにより全身での組織障害が見られる

遺伝形式X連鎖性劣性遺伝*
遺伝子変異GLA遺伝子
αガラクトシダーゼ(αGAL)
皮膚症状皮角血管腫、乏汗症、手足末端の知覚異常
心臓心肥大、不整脈
渦巻き状角膜混濁、水晶体、結膜、網膜の編成
腎臓蛋白尿、腎不全
内耳障害難聴、耳鳴り、めまい
神経抹消神経障害、手足末端の異常感覚
認知症、脳梗塞、脳出血
消化管腹痛、下痢
緑は小児期から出現、青は成人してから出現することが多い

X劣性なので基本男性発症だが近年では女性型も注目されており、ライオニゼーションによるとされる。女性型は症状が大小様々で、年齢とともに症状が出現する

古典型腎型亜型心型亜型女性ヘテロ型
性差男性男性男性女性
発症年齢幼少期25歳以上40歳以上6-60歳
死亡r年齢40歳くらい不明60歳以降70歳以降
被角血管腫++±なしなし- +
発汗減少++±なしなし- +
末梢神経障害++±なしなし- +
角膜混濁++±なしなし- +
心障害虚血、心筋梗塞左室肥大左室肥大左室肥大
腎障害腎不全腎不全軽度蛋白尿軽度蛋白尿ー腎不全まで
脳血管障害一過性脳虚血発作、脳卒中不明なし一過性脳虚血発作、脳卒中
αGAL活性1%未満5%未満10%未満正常

 

参考

慶応大学KOMPAS ファブリー病

Fabry病の診断と治療

Fabry 病におけるマルベリー細胞・マルベリー小体の起源

その他

解答解説に間違いがあればお手数ですがコメントで教えてください

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