皮膚科専門医試験問題と解答解説 2021年度問題72

問題
解答と解説
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問題

問題 72．ペラグラについて正しいのはどれか．2 つ選べ．
1．常染色体劣性遺伝を示す．
2．ナイアシンの欠乏のため生じる．
3．皮膚炎・便秘・認知症を主徴とする．
4．症状の改善のためには遮光も有効である．
5．四肢を中心に石灰沈着を伴うことが多い．

解答と解説

問題 72．ペラグラについて正しいのはどれか．2 つ選べ．
1．常染色体劣性遺伝を示す．
遺伝性疾患ではない。遺伝性に類似した症状がおこるのはHartnup病で、これは常染色体劣性遺伝
2．ナイアシンの欠乏のため生じる．
諸説あるだろうが、ナイアシンの欠乏により皮膚ではROS産生、PGE2産生亢進などにより光線過敏が発生する。またナイアシンがGPR109Aを介したシグナル伝達を介してIL-10,18などの産生、Tregを制御し、腸炎をコントロールしている。ナイアシンは，マクロファージから PGD2産生を促し，神経保護的に作用する。このためナイアシン欠乏により精神症状が出現すると考えられている。
3．皮膚炎・便秘・認知症を主徴とする．
皮膚症状（dermatitis），消化器症状（diarrhea），精神・神経症状、認知症（dementia）。３Dともいう。特に皮膚は光線過敏性皮膚炎、Vネック部の皮疹にはCasal’s necklaceと名前が付いている。
4．症状の改善のためには遮光も有効である．
光線過敏性皮膚炎があるので、遮光もナイアシン補充とともに行うとよい
5．四肢を中心に石灰沈着を伴うことが多い

皮膚症状（dermatitis），消化器症状（diarrhea），精神・神経症状（dementia）。３Dともいう。３DだけにVitB3であるナイアシンが不足することにより発症する。トリプトファンの合成経路なので、トリプトファンが欠乏してもペラグラ様の症状が出現する。先天性の代表的なトリプトファン代謝異常症であるHartnup病ではペラグラ様の症状が出現する。

とうもろこしにはトリプトファンが少ないためトウモロコシを主食とする地域では、ペラグラが比較的発生し易い（おそらく中南米とかアフリカの南の方）。余談だがメキシコのトルティーヤはとうもろこしだが石灰で煮たり重曹を入れてアルカリ処理しているので吸収できるようにうまく作られている。