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皮膚科専門医試験問題と解答解説 2021年度 問題69

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問題

問題 69.PTEN 遺伝子の変異によって生じる疾患はどれか.
1. Cowden 症候群
2. Gorlin 症候群
3. Netherton 症候群
4. Peutz-Jeghers 症候群
5. Vörner 型掌蹠角化症

解答と解説

問題 69.PTEN 遺伝子の変異によって生じる疾患はどれか.
1. Cowden 症候群
常染色体優性。ほぼ前例で過誤腫が発生する。別名でPTEN過誤腫症候群ともいう。変異は80%以上でPTEN遺伝子変異あり。
2. Gorlin 症候群
いわゆる基底細胞母斑症候群のこと。がん抑制遺伝子であるPTCH1の変異。掌蹠の小陥凹、肋骨椎骨異常、顎骨嚢胞、大脳鎌石灰化など。基底細胞癌が多発し、髄芽腫が発生することもある。余談だが自然発生した髄芽腫では量両アレルのPTCH1変異が見られたが、被爆に起因する髄芽腫では一方アレルでは正常なPTCH1が欠損している(もう片方は変異PTCH1)。この病気も同様の原理でにloss of heterozygosity により腫瘍が発生するとされる。
3. Netherton 症候群
常染色体劣性。LEKTIをコードするSPINK5遺伝子が原因。変異により作られるLEKTIの配列が短くなってしまう。変異に位置により作られる配列が長いほど軽症で、短いほど重症になる。LEKITIが角質剥離酵素であるセリンプロテアーゼを制御するが、この変異のために角質の剥離が亢進してしまう。先天性魚鱗癬、毛髪異常、アトピー素因が主症状。毛髪異常は陥入性裂毛症、捻転毛または結節性裂毛がキーワード。頻出の疾患。
4. Peutz-Jeghers 症候群
常染色体優性。食道を除く全消化管の過誤腫性ポリポーシスと口唇、口腔、指趾の色素沈着を特徴とする。がん抑制遺伝子であるSTK-11遺伝子変異。このときの掌蹠の黒色斑はparallel ridge pattternでも悪性とは判断しない。
5. Vörner 型掌蹠角化症
常染色体優性。大部分がケラチン9の変異で発生する。組織で顆粒変性がみられる。

参考

Netherton 症候群

がん抑制遺伝子 PTEN 異常による各種疾患

その他

解答解説に間違いがあればお手数ですがコメントで教えてください

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