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皮膚科専門医試験問題と解答解説 2021年度 問題63

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問題

問題 63.40 歳,女性.全身麻酔による手術歴なし.35歳時と 38歳時に,抜歯時にリドカインによる局所麻酔を行ったところ,気分不良と蕁麻疹を認めた既往がある.また,バナナ摂取時に口腔違和感が出現する.このたび,全身麻酔下に手術を行う予定があり,その危険性につき主科よりコンサルトを受けた.この患者に関する正しい説明はどれか.
1. 入院中は小麦除去食とする.
2. セフェム系抗生剤の使用は避ける.
3. ラテックスアレルギーの精査が必要である.
4. 筋弛緩薬に対するアレルギーを起こす可能性が高い.
5. 抜歯時の反応はアレルギー性ではなく心因性と考えられる.

解答と解説

問題 63.40 歳,女性.全身麻酔による手術歴なし.35歳時と 38歳時に,抜歯時にリドカインによる局所麻酔を行ったところ,気分不良と蕁麻疹を認めた既往がある.また,バナナ摂取時に口腔違和感が出現する.このたび,全身麻酔下に手術を行う予定があり,その危険性につき主科よりコンサルトを受けた.この患者に関する正しい説明はどれか.
1. 入院中は小麦除去食とする.

FDEIAではないので関係なし。この場合はω5グリアジン
2. セフェム系抗生剤の使用は避ける.
ペニシリン、セフェムのようなβラクタム自体が抗原性が高いとされている。セフェム系が一つだめだからと言って他のセフェム系が使えない訳では無い。本当に使えない場合はキノロン、マクロライドなどを使うはず。
3. ラテックスアレルギーの精査が必要である.

今回はバナナでの口腔違和感があるため口腔アレルギー症候群、ラテックスフルーツ症候群を念頭におく。食べたあとではなく食べている最中から症状が出る。ラテックスと交差するものとしてキウイ、アボカド、バナナ、クリなど。これらのクラスIキナーゼがラテックスのへベインと交差する可能性がある
4. 筋弛緩薬に対するアレルギーを起こす可能性が高い.

筋弛緩薬で引き起こされるアナフィラキシーの共通構造に第4級アンモニウムがある。これは界面活性剤に含まれたりする。
5. 抜歯時の反応はアレルギー性ではなく心因性と考えられる.

確かに局所麻酔手術後の体調不良は迷走神経反射などが多いが、2回も似たようなエピソードがあるのに心因性でしょう、で何もせずに返したらクレームが来ると思う。

局所麻酔薬自体のアレルギーは非常にまれで、よくあるのは添加物のメチルパラベンによるアレルギー反応が多い。また手袋やバイアルに使われているラテックスなどが多い。局所麻酔薬自体はエステル型のほうがアミド型より発症し易いとされる。

エステル型プロカイン
コカイン
テトラカイン
ベンゾカイン
血漿中コリンエステラーゼで分解される
分解産物であるパラアミノ安息香酸によるアナフィラキシーが心配
アミド型リドカイン
プロピトカイン
メピバカイン
ジブカイン
肝臓で分解
アレルギー反応は比較的少ない
防腐剤のメチルパラベンがアレルギーの原因になりうる

この手の相談はよくあると思います。

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