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問題
問題 65.70 歳,男性.昼頃より舌の腫脹を自覚し,近医にてステロイドおよび抗ヒスタミン薬(いずれも内服)を処方されて内服するも症状が悪化するため救急外来を受診した.意識清明,体温 36.6℃,脈拍90/分,呼吸数 20 回/分,血圧 180/90 mmHg,身長168 cm,体重 65 kg.舌全体に著明な浮腫を認め,他に皮疹を認めない.上記の他,5 日前より高血圧の治療薬がリシノプリル(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)に変更となったがそれ以外には半年以上他の薬剤の使用歴はない.次に行うべき対処はどれか.
1. 気道確保の準備
2. 抗ヒスタミン薬の静注
3. アドレナリン(30 mg)の筋注
4. カルシウム受容体拮抗薬の静注
5. C1-インアクチベーターの皮下注
解答と解説
問題 65.70 歳,男性.昼頃より舌の腫脹を自覚し,近医にてステロイドおよび抗ヒスタミン薬(いずれも内服)を処方されて内服するも症状が悪化するため救急外来を受診した.意識清明,体温 36.6℃,脈拍90/分,呼吸数 20 回/分,血圧 180/90 mmHg,身長168 cm,体重 65 kg.舌全体に著明な浮腫を認め,他に皮疹を認めない.上記の他,5 日前より高血圧の治療薬がリシノプリル(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)に変更となったがそれ以外には半年以上他の薬剤の使用歴はない.次に行うべき対処はどれか.
1. 気道確保の準備
何にもわからなくても、必要だと思うはず。
2. 抗ヒスタミン薬の静注
今回蕁麻疹よりも喉頭浮腫が目立つのマスト細胞性よりもブラジキニン依存性であることが予想される。なので抗ヒスタミンの効果はあまり期待できない
3. アドレナリン(30 mg)の筋注
4. カルシウム受容体拮抗薬の静注
血圧は高いが超緊急ではない。また血管浮腫ではないが、Ca拮抗薬も浮腫の原因の一つとなるため、今回のケースではふさわしくない
5. C1-インアクチベーターの皮下注
ちなみにHAEで使用するCI-INH製剤は静注なので今のところ、皮下注する使い方はない。イカチバントの皮下注ならOKだが、万が一にそなえ気道確保は最優先。オンデマンドで以下地番とが使えないならFFP投与などを行っていく
今度は遺伝性ではない血管浮腫ACE阻害薬で出現することは有名。
ACE阻害薬はキニン分解酵素であるキニナーゼを阻害するため、血中ブラジキニンが上昇する。ブラジキニンは血管拡張や血管透過性を亢進する作用があるため血管浮腫が発症する、有名な副作用である空咳もブラジキニンが気道を刺激するために起こる。こういった作用のためACE阻害薬による血管浮腫はブラジキニ依存性であると考えられる
血管浮腫の70%はマスト細胞型で蕁麻疹がよく見られるが、こんかいのケースは血管浮腫でも病型が定まっていない場合にはトリアージからの抗ヒスタミン剤、ステロイド、アドレナリンは試していくことになる。
遺伝性血管浮腫 | 血管浮腫 | |
発症時期 | 小児期、思春期から | 成人期 |
家族歴 | ある | ない |
症状 | 蕁麻疹なし 腹痛あり 境界不明瞭な皮膚の腫れ | 蕁麻疹あり 境界明瞭な皮膚の腫れ |
検査 | C4低下 C1-INH機能低下 C1-INH遺伝子異常あり | なし |
治療 | 抗ヒスタミン剤効果なし ステロイド効果なし | 病型による |
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