SNSフォローボタン
KIをフォローする

皮膚科専門医試験問題と解答解説 2021年度 問題60

試験問題のリンク図表のリンクです

こちらをクリックすると解答解説にスクロールします

参考にしたサイトなどにスクロールします

解答解説に間違いがあればお手数ですがコメントで教えてください

試験問題のトップ

問題

問題 60.10 代,男性.初診 1 週前より前頭部に排膿と疼痛を伴う皮疹が生じ,急速に拡大した.初診時臨床像を図 18 に示す.血液検査では,白血球 16,200/μl,CRP 12.3 mg/dl.入院の上,セフェム系抗菌薬の点滴を続けたが皮疹はさらに拡大した.初診 7 日後の臨床像を図 19 に示す.生検を行ったところ,真皮全層に好中球の稠密な浸潤がみられた.最も考えられる診断はどれか.
1. 尋常性膿瘡
2. ケルスス禿瘡
3. ブルーリ潰瘍
4. 壊疽性膿皮症
5. 膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎

解答と解説

問題 60.10 代,男性.初診 1 週前より前頭部に排膿と疼痛を伴う皮疹が生じ,急速に拡大した.初診時臨床像を図 18 に示す.血液検査では,白血球 16,200/μl,CRP 12.3 mg/dl.入院の上,セフェム系抗菌薬の点滴を続けたが皮疹はさらに拡大した.初診 7 日後の臨床像を図 19 に示す.生検を行ったところ,真皮全層に好中球の稠密な浸潤がみられた.最も考えられる診断はどれか.
1. 尋常性膿瘡
起因菌がS.pyogenesなど連鎖球菌が多いのでセフェム系は効果がありそう。見た目もゴリゴリの潰瘍ではなく膿痂疹に近い
2. ケルスス禿瘡
頭部白癬の経過中に化膿性炎症を伴ったもの。頭部の不適切なステロイド外用によることが多い、毛のKOHで診断をつけることができるし、病理でも真菌成分が確認できるはず。飼い猫からMicrosporum canisをもらって悪化する症例報告も多いようだ。
3. ブルーリ潰瘍
M. ulceransによる。四肢に頻発し、上肢が約35%、下肢が55%、その他10%。生検すると巨細胞、類上皮細胞肉芽腫などNTMの所見があるはず。
4. 壊疽性膿皮症
抗生剤が奏功しない、生検後急速に拡大している点は経過として矛盾なし。また臨床的にも辺縁が堤防上に隆起している点などは壊疽性膿皮症に合致すると思われる。
5. 膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎
青年男性、頭皮に大小の膿瘍を形成する。化膿性汗腺炎と同じなので抗生剤が奏功しうる。英語で言えるとかっこいい。perifolliculitis capitis abscedens et suffodiens。

コメント