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問題
問題 51.41 歳,女性.1 か月前から口唇,口腔内と陰部に発赤・びらんが出現し,さらに体幹,四肢にも病変が拡大したために受診した.抗 DSG3 抗体は弱陽性だった.口唇と外陰部の臨床写真をそれぞれ図12,図 13 に示す.また,外陰部の紅斑部からの生検組織のヘマトキシリン・エオジン染色像を図 14
に,FITC 標識抗ヒト IgG 抗体を用いた蛍光抗体直接法の結果を図 15 に示す.最も考えられる疾患は
どれか.
1. 扁平苔癬
2. 粘膜類天疱瘡
3. 増殖性天疱瘡
4. 多形紅斑重症型
5. 腫瘍随伴性天疱瘡
解答と解説
問題 51.41 歳,女性.1 か月前から口唇,口腔内と陰部に発赤・びらんが出現し,さらに体幹,四肢にも病変が拡大したために受診した.抗 DSG3 抗体は弱陽性だった.口唇と外陰部の臨床写真をそれぞれ図12,図 13 に示す.また,外陰部の紅斑部からの生検組織のヘマトキシリン・エオジン染色像を図 14
に,FITC 標識抗ヒト IgG 抗体を用いた蛍光抗体直接法の結果を図 15 に示す.最も考えられる疾患は
どれか.
1. 扁平苔癬
口の病変は頬粘膜にwickham線条が見られることが多いので見た目的に異なる。LPでもDIF陽性になることがあるが、炎症は基底膜なのでBMZに沈着するはず。写真のHEはかなりLPに類似していると思う。
2. 粘膜類天疱瘡
抗BP180抗体が陽性になるはず。検査室ではNC16a領域がターゲットになっているが、MMPではC末端がエピトープになることがあるので、陰性の場合はBP180の全長をターゲットとしたELISAを使用することがある。これは北海道大学で検査を請け負っているので血清を送ったりしていました。あとラミニン 332 や a6 /b4 インテグリン、これらは目の病変に注意。ラミニン 332は悪性腫瘍も注意。最近北海道大学からa6 /b4 インテグリンを検出するELISAが開発された(Mai S et al, JID innovations, 2023)。
3. 増殖性天疱瘡
モリモリ増殖しているように見えるはずだが、あまり増殖しているようには見えない。間擦部からの変化はHallopeau型、水疱、びらん部からの変化はNeumann型でともに抗Dsg3抗体は強陽性になることが多く、一部の症例で抗Dsg1抗体も有する。Neumann型は比較的進行性で難治であり、Hallopeau型は自然消退もあり予後良好
4. 多形紅斑重症型
自己免疫性水疱症ではないのでDIFは陰性のはず。
5. 腫瘍随伴性天疱瘡
口唇が上下牡蠣殻上になっている感じの写真は典型的。病理もLP様に見える事がある。血液がんなどの合併が多いので精査していくことになるはず。閉塞性細気管支炎で死亡することがあるので呼吸状態に注意。Dsg3よりもデスモプラキンやデスモコリンがエピトープになっていることが多い。久留米大学が検査を請け負っているので、血清を送ったりしていました。仮に悪性腫瘍があったとしても、実際これらの自己抗体が証明されないで地方会とかに出したら、天疱瘡に悪性腫瘍が合併したのではないか、というツッコミが間違いなく入る
病理はparakeratosisをともなわないhypereratosis、顆粒層の肥厚、境界部変化、見ようによってはband-likeなリンパ球浸潤、組織学的色素失調などかなり扁平苔癬に見える。LPのような炎症性疾患でもDIFが陽性になることがあるが、テストレベルで蛍光抗体法が陽性の際は、血中に自己抗体がある、という判断でいいと思うので、自己免疫性疾患を想定していると思う。
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