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皮膚科専門医試験問題と解答解説 2021年度 問題43

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問題

問題 43.梅毒検査について正しいのはどれか.3 つ選べ.
1. ガラス板法の抗原(VDRL)は発売中止された.
2010年に発売中止となった
2. 先天梅毒疑いで,臍帯血 FTA-ABS-IgM 検査は保険適用である.
3. STS(緒方法)は保険適用から除外された.
4. STS(RPR:LA) は TP 抗 体(TPLA:LA)より先に陽転する.
5. 現在行われている RPR:LA,TPLA:LA などは自動検査法である.

解答と解説

問題 43.梅毒検査について正しいのはどれか.3 つ選べ.
1. ガラス板法の抗原(VDRL)は発売中止された.
2010年に発売中止された。VDRLは線状沈降反応を利用している

2. 先天梅毒疑いで,臍帯血 FTA-ABS-IgM 検査は保険適用である.
2014年以降は保険適応外となっているが、疑われる場合は検査しても良い。おそらく症状詳記が必要
3. STS(緒方法)は保険適用から除外された.
緒方法は補体結合反応によるもので1994に保険適応から除外、現在は沈降法が保険収載されている

4. STS(RPR:LA) は TP 抗 体(TPLA:LA)より先に陽転する.

TPに感染後約1週間くらいでまずTPに対するIgM抗体が産生され、続いてSTSに対するIgM抗体,IgG抗体,最後にTPに対するIgG抗体が産生される。また一般的にルーチン検査の場合、その陽転順序はまずFTA-ABS IgM抗体が陽転し、次にFTA-ABSとSTSがほぼ同時に陽転し、TPHAが最も遅く陽転する傾向がみられる。そしてTPLAよりもSTSが先に陰転化するので以下の表の解釈となる。TPHAはTP-IgGを検出するため、一番遅く陽性になるはず。

しかし近年ではLA法になり、頻用されるメディエースの試薬ではTPLA-IgMの反応性が高いので早く陽性化するとのこと
5. 現在行われている RPR:LA,TPLA:LA などは自動検査法である.

現在のRPRとTPLAはラテックス凝集法が用いられていて自動分析可能なはず。ラテックスは表面に結合させた抗体と抗原の結合を橋渡しにしてラテックス粒子自体が結合、凝集する性質がある。ラテックス粒子にリコンビナントのカルジオリピンないしTP抗原を吸着させておき、検体に投与する。血中に抗体があればラテックス粒子が吸着し凝集反応が起こる

梅毒は頻出だが検査についてまでおぼえている人は少ないと思う。

STSTPHA (TPLA)判定対策
非梅毒
感染直後1-数週あけて再検査
++梅毒治療開始
RPR偽陽性orTPLA非特異的反応FTA-ABSで確認
+梅毒治療後FTA-ABSで確認
感染後長期経過した梅毒FTA-ABSで確認
TPLA非特異的反応FTA-ABSで確認
地帯現象 血清希釈後に再検査
+梅毒感染初期1-数週あけて再検査、FTA-ABSで確認
生物学的偽陽性自己免疫性疾患の精査
*抗体過多による偽陰性

基本的にはSTSとTPLAのパターンを見てからFTA-ABSを提出する流れなので、同時に提出すると査定される場合があるので注意。ちなみに定性と定量を同時に提出すると定量の点数しか算定されないので注意

また昔あったTPHAのHAはhemagglutinationで赤血球凝集を利用していた。現在のTPLAのLAはLatex Agglutinationで、ラテックス凝集反応を利用している

STSはserologic test for syphilisの略

RPRはrapid plasma reagin testの略である

FTA-ABSは塗抹TP株そのものを塗抹固定スライドとして使用。そこに希釈系列を作った血清をふりかけ反応させた後にFITC-IgGなどの二次抗体を振りかける。いわゆるIIF的なもの。塗抹固定スライドにTP株自体を使っているので感度特異度ともに高いとされる

参考

マルホ皮膚科セミナー

脂質抗原法(RPR)が陰性で TP 抗原法(TPLA)が陽性であった早期顕性梅毒の 2 例

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